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長歌 「相棒」

相棒

摩天楼たなびく煙
硝煙の匂いをまとい
一匹の狂犬となり
我が道を歩く男が
泣いている女のことじゃ
ないけれど友が死んだと
言うだけで男はひとり
泣いている友と言うには
近すぎて愛を言うには
遠すぎた背中を守る
その腕に何度惚れたか
分からない我が名を叫ぶ
その声に何度惚れたか
分からない恋など軽い
ものでなく執着という
足枷で繋がれたはず
このふたり繋がれたはず
このふたり永遠という
ジレンマに苦しめられて
逃げまわり最後の問いが
死別など笑ってしまう
神などは信じちゃいないが
あんまりだ信じちゃいないが
あんまりだ教会の戸は 
開いていて讃美歌だけが
悲しくも男の涙を
表した赤を見るたび
その生と死を思いだし
涙さえ枯れた頃には
やって来る死んだ男が
やって来る分かっちゃいるが
つらいのだ何度言っても
笑うだけ彼は静かに
笑うだけまた永遠を
駆け回りまたジレンマを
抱えつつそれでも生きる
ことだけを支えとするが
信条だお前とならば
どこだって行けるさ飛ぼう
この摩天楼