さはらやの倉庫 短歌と愚痴と雑記

短歌と愚痴と雑記 twitter @0ya5udon

短歌 連作 鳩が飛び立つ

鳩が飛び立つ(59首)



精神科待合室でじっと待つ窓辺のひかりだけが穏やか


精神科待合室でシュミレーション脳みそ腐ってるとか言われます?


淡々と僕の言葉を飲み込んで医者の指にはひとつのリング


パソコンで精神科医はカルテ取り僕の目を見てやさしい顔だ 


薬局でおまけにもらう安っぽいマスクを捨てて偽悪のつもり


錠剤をひとつ押し出すたび泣ける普通って何、病気って何


泣くときは客間のソファーと決めている家にはそんなものはないから


泣くなよと言いたいけれど口からは嗚咽が漏れるだけの暗闇


友達の誘いを断り診察に出かけるときは決まって晴れる


同窓会、成人式にも行けなくて私の過去がほろほろ溶ける


バス停で道を聞かれた首をよく傾げる人で、伝わったかな


片足を引きずる人を遠巻きに眺める人のひとりとなった


バスの中きゃっきゃっと喋るおばさんと隣で耳を塞ぎたい僕


バスの中ずっと呟いている人があさひって言う不意に振り向く


バスの中変な人だと思われる気がしてずっとうつ向いていた


病院で降りるボタンが押せなくて偏見がとても怖かった


偏見が自分に向いて怖いのは自分も偏見を持つからだ


一駅の電車とバスを乗り継いで白い白いよ病院に着く


喋る人、突っ立てる人、僕、私、アベレージでは測れぬ何か


高すぎる壁に書かれた「普通」「常識」に弾かれ尻餅をつく


大学へ行ってないから大学は怖い場所だと思ってしまう


歩けるしたぶん走れるのに寝てる 冬の昼間の風は透明


甘えてる甘えてるって思うたびどんどんたましいが重くなる


不登校 異常」で検索し続ける僕がおそらく一番異常


明るくて優しい人に憧れるおとぎ話のような鏡鑑


留年し知らない人に囲まれて孤独ではない寂しくはある


誰かから批判されてる気がずっとしてる、うつむき加減で歩く


双極性障害Ⅱ型」と検索し、なんで。普通に。なれないのだろう。


病状は似ているけれど社会的活動している人に嫉妬


五七五七七で吐き出す気持ち出会わなければ壊れていたよ


愚痴を吐くどろどろとした感情も短歌にくるんで世界へ放る


生きていていいかなぁと思える日、伊吹について詠んだりもする


寝ていると視界は狭いけど世界は広いと思っていたい 広いよ


時々は元気になって友達が大好きになるみんなやさしい



飲み会で同級生の陰口をさかなにしてる自分に気づく


教室へ行くための道、食堂へ行くための道、久しぶりです


病気から正常になりまた僕は普通に暮らせますよね、先生


正常な僕からみたら常識はかなり心地よいものだと気づく


友達と歩いていると強くなる気がしてひとりの人を横目に


ぶり返す症状ほんと死にたいよ生きるって何、死ぬって何!


世間から不登校って見られてて家族はきっと傷ついている


寝て過ごす僕に優しい家族 もう嫌な思いはさせたくなくて


わがままを言いっぱなしで自傷的自己愛に酔いしれる真夜中


絶対でないことぐらい分かっても世間の目には逆らえなくて


「引きこもり 甘え」で出てくる情報を鵜呑みにしては傷ついていく


死ぬのさえ甘えでしょうか、普通にはできない僕は死ぬべきである。


死にたくて長い紐には目ざとくて「結び方」とか検索してる


生きたいよ同じくらいに死にたいよ神様、天秤ばかりをください


少しだけ多めに薬を飲んでから少し死ぬのが怖くなった


襲い来る過去と不安と情けなさきりんのうんこは売っていますか


毎日はただ穏やかに流れては僕の背中をすーっと擦る


微睡んだひかりの中で美しい羽根についての考察をする


朝食が食べれるようになりました。ばあちゃんそんなに喜ばなくても


晴れた日にゆっくりゆっくり散歩するベンチに座る、呼吸をしてる


「今日晴れてよかったねぇ」とおばあさん死にぞこないにも優しいですね


「普通ってなんなのでしょう」「そうね、今日みたいな日かね」鳩が飛び立つ



空は空、曇り空でも青空も普通はなくて見てて気持ちいい



人は人、それだけなのだ それだけだ 本当にそれしかないのです


僕は僕、それだけなのだ それだけだ 本当にそれしかないのです



f:id:saharaya:20171120185933j:plain