さはらやのブログ 詩と短歌 時々自分のこと

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短歌 「一人旅ブギ」(みんな読んでー!)

一人旅ブギ

出発の朝は眩しい朝焼けの中に一羽のニワトリが飛ぶ

ホームへと滑り込んだら僕よりも輝いているキハ75

まだ低い陽を体内へ取り込んで僕はもうすぐ旅人になる

乗り込んだ車両は閉じた異世界の日溜まりだった(猫と目が合う)

サンフランシスコについて考えて同時に猫を撫でるテンション

ゆっくりと列車が駅を出るたびに取り残される錯覚をする

真っ直ぐな線路もいつか曲がること僕も大人になるということ

山裾のカーブは続き独特の車両の揺れに熟れていく僕

鉄橋は爆破地点になりやすく少しワクワクしながら渡る

川沿いに列車が走り丁寧な画家が魚を描き始める

終点を乗り継いだとき僕の背に秋のおわりが張り付いていた

北へ行く列車にのってどこまでも僕の世界を抜け出したくて

日が暮れて窓にうつった僕の顔ひどい顔だと言う人もなく

終電の先のベンチでとりあえずパントマイムの練習をする

明け方にニワトリが鳴く僕も泣く逃げた世界を哀れんでなく

つまずいて倒れた先にあるものは誰の手でなく古い空き缶

真っ直ぐに自宅へ帰る道筋を避けて一番星を見つける

一心に空を忘れなかったならあのニワトリはまた空を飛ぶ