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さはらやのブログ 詩と短歌 時々自分のこと

詩と短歌とその他もろもろのブログ twitter @0ya5udon

詩 沈黙

沈黙

沈黙は沈黙でしか語れない。

私の真正面に座っている彼は私たちがファミリーレストランの椅子に座ったときから沈黙を保っている。私がハンバーグ定食を頼んだときだけ「同じのを」とだけ言った。しかし、その声さえも忘れてしまうほど長い間彼は沈黙を保っていた。
二人ともハンバーグ定食を食べ終えて、周りの家族連れが騒がしく食事をしているなかで彼は沈黙を保っていた。

彼は沈黙を語っているのだろうか。

私には聞こえない何かで沈黙を語っているのだろうか。

彼の前髪は前に会ったときより少し伸びていて、しかし爪は綺麗に切り揃えられていた。

沈黙は沈黙でしか語れない。

彼の鞄の中にある私の左手の薬指にぴったりな指輪に彼の沈黙が詰まっていくのが分かる。

私たちの今の関係で最後の沈黙を私は黙って聞いている。