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さはらやのブログ 詩と短歌 時々自分のこと

詩と短歌とその他もろもろのブログ twitter @0ya5udon

短歌 連作 「私の病気」

私の病気    

怖いもの 雷鳴父母突然に「死にたい」と言う私の心

鬱でしょうそうなんでしょうそうでしょう思考の外で空蝉が鳴く

間違った道へ入って降ってきた雨粒のように流れる涙

錠剤を押し出す時に溢れ出す感情で手が微かに揺れる

目一杯笑ったつもりで友達に困っているのと聞かれる三時

積もりゆく雪に紛れて真っ白な自責の念が私を染める

畳から見上げる空は木目調なにもしないで過ぎゆく時間

昨日今日明日もきっと来年も同じ文字盤を進む秒針

致死量に届かぬくらいの「死にたい」が一番つらくて一番死にたい

目の前が笑っちゃうほど暗くって目覚めれば午後二時 昼ですね

毎月の薬代を記帳する普通に成るのに必要な金

サスペンス殺される前に被害者が明るく笑って私も笑う

つらいよう助けてくれよ寂しいよ東の空に沈む太陽

向精神薬で元気になる私あかるい世界の白いからくり

黒豆を煮ている匂いで目が覚める午睡の誤謬はささやかなもの

死にたいに代わる言葉を見つけてよ生きてく意味さえ見つからなくて

死にたいに代わる言葉を見つけてよ涙の代わりに溢れ出す歌

死にたいに代わる言葉を見つけてよ私のままでいいのでしょうか

死にたいに代わる言葉を見つけてよ生きたいわけじゃないけど生きる

死にたいに代わる言葉を見つけるよ生き続ければ見つかるはずで

春風を知らないままに夏風に吹かれて開けた七月の空

たどり着く場所も知らずに風たちが笑っているから私も笑う

新しいワンピースを着た日のようにくるぶしで軽く私をたたく

海の音海の匂いをまといたく西へ西へと自転車を漕ぐ

叫んだら私が私を抜けてってそのまま夏の空へと消えた

割れているアスファルトから命とか生きている熱が立ちこめる夏

蝉たちは生きているから煩くてテレビの音を三だけ上げる

慣れてきた病院へ行く歩道橋の上に小さなトンボの夫婦

歌にする死にたい気持ちと生きていく決意が混ざって血の色になる

天高く秋の気配に背を押され知らないうちに生きたいと願う