さはらやのブログ 詩と短歌 時々自分のこと

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短歌 連作 「怪盗と僕」「怪盗と恋」

怪盗と僕

怪盗はおもちゃ屋さんからUFO を盗んで空へと返してあげた

怪盗はあの子の心が盗めずにいまだ独身実家暮らしだ

怪盗は月の涙を盗んでは太陽宛に冷蔵で贈る

怪盗はシルクハットにタキシードだけどパンツは白ブリーフ派

怪盗のキスで目覚めるお姫様人間じゃなくて白熊だけど

怪盗が闇に紛れて消えてゆくサーチライトはさよならの合図

怪盗は十二時の鐘で去っていくラジオ体操とかでも見かける

スーパーの魚売り場でバイトしている人が実は怪盗なんだ

今日もまた僕の家からたい焼きを盗んでいって頬張る怪盗

怪盗は海の笑いを集めては貧しい子らに分け与えてる

怪盗はおばちゃんたちのあめ玉を一個ずつ盗み飴屋をひらく

怪盗の犯行予告が達筆で新米刑事は読めなかった

怪盗の犯行時刻はゴールデンタイムと重なりいつも裏番

怪盗が空の悲しみ盗むとき雨時々晴れ必ずや虹

怪盗は夜空の欠片盗んではプラネタリウムに忍ばせている

怪盗は街の時間を盗みだし慌てる大人を笑って見てる

怪盗は悪夢を盗み飼っている三匹の貘へ餌付けしている

怪盗は僕の憧れ町中の注目を得て今日も逃げ去る

マンションの隣に住んでるにいちゃんは実は怪盗 僕だけの秘密

怪盗が盗んだものを盗みたい僕も誰かを幸せにしたい

怪盗と恋

怪盗は初恋の人の枕元そっと降り立ち額に口付け

盗まれた指輪は元彼からのもの私の未練も消えてしまった

怪盗が盗んでいった恋心闇に紛れた彼の残り香

ラブレター書かれた時刻は午前二時そんな時間じゃ魔法もとけちゃう

真夜中の会瀬は君の甘酸っぱい香りを強く強く匂わす

あなたへの気持ちをつけた香水に思いを託し強く抱きつく

真夜中に実った恋は朝になり熟して甘い香りを放つ

怪盗の恋人は花屋今日もまた犯行予告についた花束

愛の巣は誰も知らない花園で二人の果実をゆっくり食べる

怪盗は私の心を盗んだが私も彼の心を盗んだ