さはらやの倉庫 詩と短歌 

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詩 許す

許す



今日の朝
私は許されたように
自分を許していた

怖くてもいい
苦しくてもいい
嫌だと思ってもいい
学校へ行きたくなくてもいい
美しいと感じてもいい
死にたいと思ってもいい
生きようと思ってもいい

朝食でハムを4枚食べれた
教科書を鞄に詰め込めた
着替えができた
靴がはけた
車に乗れた

怖くなかった
苦しくなかった
嫌ではなかった
学校へ行きたかった
美しく感じた
死にたくなかった
喜びで涙が溢れた

それから

学校の駐車場で
鞄に手をつけれなかった
車を降りられなかった

太陽が暖かかった

シートベルトを再びできなかった
アクセルが踏めなかった

人の目は気にならなかった
学校に行かなくてもいいよって許した
しばらくぼんやりしてた

家に帰ることにした
帰りながら色々考えた
私は悪い人間なのか
私は良い人間なのか
世界には悪い人間と良い人間が
いるのか
いないのか

家に帰った
横になった
何もできなかった

好きな音楽は15秒で聞くのをやめてしまった
好きな絵を見るのもやめてしまった
Twitterはすぐに閉じた

まだ返せてないラインやメールが山ほどある
提出期限の過ぎたレポートが山ほどある
テスト勉強の範囲が山ほどある

なにもなにもできなかった

寝ることしかできなかった

でもね、
私が私に「できなかった」を許したのはすごいこと
今まで
私は私に「やろうとしないだけ」を使って私を許しはしなかった

先生は、恋人は、友人は、家族は
私のことを「病気」って言うけれど
私はそれを信じなかったし
信じることを許さなかった

薬はちゃんと毎日飲んでた

でもね
今日は私が病気でもいいかなって思えた
病気を理由にすることを許せた

今までは
表面上の理由ではたくさん病気を理由にして
学校を休んだり
バイトを休んだり
遊ぶことをやめたり
会話をやめたり
して
ずっと横に横になっていた

けれど
病気を理由にすることを
卑怯だと思った
そうする自分を憎んだ
罰せられるべきだと思った

今日は
そんな自分でもいいかなと思った
許せても許せてなくても全て許そうと思った

青空が憎くなかった

明日も
私は私を許せているかもしれないし
許せていないかもしれないので

ここにひとつの
詩を残す


2017年12月4日月曜日の私から

21年11ヵ月生きてきた昨日までの私と
たぶんこれからもなんとか生きていてくれると信じる明日からの私へ

そして、この詩を読んでくれている人へ

大学 不登校
死にたい
行きたくない
勉強したくない
双極性Ⅱ型障害
うつ

などで検索にひっかかって
この記事を見つけてくれた人へ

短歌 責めることは安心感

あいうえお短歌

責めることは安心感

明日生きるために寝るとか笑っちゃう笑っちゃうけどやっぱ生きたい

生きるため歌をうたって生きるため歌を休んで読んでうたって

うつ向くと前が見えなくなることに今ごろ気付いてやはりうつ向く

絵本では世界の色が決まっててほんとは自分で決めなきゃいけない

落ち着いて、恐怖に勝って、前向いて、大学へ行く。絶対に行く。

悲しいと涙が出るよ体験は誰に伝えるためにあるのか

昨日より良くなっていることがより私を責める道具にかわる

苦しいと息ができないもう何年肺呼吸してきたのだろうか

結婚を考えながら包丁の場所を探して寝るときもある

今度こそ思えば思うほど重くのしかかるこれの名前は期待

さびしさは時々会いにやって来て紅茶を飲んで帰っていくよ

死にたいに代わる言葉を教えてよあなたと共に生きていきたい

素敵だねみんな私はできないが普通の暮らしをみんなしている

責めるのは安心すると同じこと自責をしないことは恐怖だ

そんなこと言ってもできない気がします根性なしは生まれつきです

立ち上がる気力もなくて歌を詠む立ち上がれない歌を詠んでる

血まみれの死体となったら悲しんでくれるでしょうか 甘い妄想

包み紙くしゃくしゃにして捨てちゃった私のことも捨ててください

手のひらで掴み取ったと思ったがもともと持ってるものばかりです

特になし。悩みはいいえ。こんなもの小さなことでしょうそうでしょう

泣きながら私はダメだと思っても何もおきない夜は明けない

煮詰まってジャムなら甘くなるけれどきっと不味いよ私の体

ぬいぐるみを抱えて眠る瞬間が許されている気がする心地

寝転んで朝日を浴びて動けずに時計の針をじっと見つめる

飲み込んだ言葉は腸を通過して寄生虫みたいに生きている

張りつめた糸が途切れた人形は光をみつめて横たわるだけ

日の当たるところで寝ると日の陰るころに悲しくなって一日

普通なら、普通であれば、普通ではない、普通にはなれるでしょうか

変な人と見られたくない目を見ると怖くて指を無為に動かす

本当は生きたいもっと頑張りたい楽しみたいし笑顔でいたい

毎日が辛いわけではないけれど辛い未来に進んでいます

みんなみんな出来ることが私にはできない。理由がやる気しかない。

難しいことを考えてるフリをずっとしてきて空っぽのまま

面倒なことをやらずに生きていて付けが回ったとはこのことか

もう嫌だ死んだら誰も悲しまず骨だけ山に蒔いてください

山ほどの問題作りながらまだ休む気ですかやる気を出せよ

許される理由がなくて怖くって自責を始めて安心してる

夜になり朝が来ること怖いから時よ止まれと祈る毎日

来年は生きていますか屍のようになっても生きていますか

理由なき許しがほしい生きててもいいと誰かに教えてほしい

留守番にでることすらも怖くってダメな人だと思われたくない

列になる人に加われなくなってひとりしゃがんで小石をいじる

老人に優しくできず若人の役目をはたせず後悔ばかり

わたくしは死ぬべきであり生きるべきでもある。頑張れません、先生。

End

おまけ

死にたいとたとえ死にたくても明日大学へ行くことに揺れ揺れ

盛大な自己満足に生きている人の命は助けられない

短歌 連作 相棒よ、共に。

あいうえお短歌

相棒よ、共に。

明日からジャングルに行き現地人と一緒に虫を食べるけどいい?

いつまでも追いかけているその背中お前は前だけ向いてれば良い

うつ向いたときにお前が差し出した右手は俺の生きる理由だ

煙突をのぼっていくと真っ黒のお前が俺を笑ってやがる

女なら誰でも口説きまた振られ裏切られてはざまあみやがれ

金づちで殴るとお前は気絶してそれでも死なない自信ならある

機関銃ぶっぱなしたら爽快だお前の高笑いが抜けていく

くまさんの着ぐるみを着て風船を配る仕事もときどきはある

蹴飛ばしたヤクザの顔を踏みながらボスの居場所を聞き出している

恋じゃない人間として好いている命はとうにお前に預けた

さつまいもを焼いて食べたらうまかったお前は舌を火傷していた

死ぬときは笑っていたいお前とはきっと来世も腐れ縁だろ

スイカ割りしながら夏が終わってく永久に輝く太陽はない

迫り来る戦車に一発お見舞いし爆発させたら仕事は終わりだ

掃除機をかけているのに昼寝し続けるお前は粗大ごみだな

タクシーを拾って帰る今日だけはお前に弱音を吐いて眠ろう

違う道違う人生もし、ならば、仮定の話はくだらねぇこと

作られた世界は全て俺たちのためにあるさとお前は言った

手のひらでダイヤを包む相棒の眼はダイヤより美しい

戸の前で敵を待ち伏せこの先は絶対誰も通させねぇぜ

何もない俺にお前がくれたもの、世界、色彩、俺の死に場所

にんじんの皮を剥きつつ肉じゃがを食べるお前を想像してる

ぬかるんだ地に足跡をつけながら駆ける。今死ぬ訳にいかねぇ

寝転んだお前の顔はアホ面で笑ってしまう日溜まりの午後

乗っている汽車からお前の車へと飛び移るもう怖くはないさ

白菜を鍋に入れたらのこのこと部屋から出てきた寝癖のお前

ひとりだと寂しいなんてことはないふたりだとただ楽しいだけだ

普通とはとうに忘れた感覚で今はスリルに犯されている

へんてこな変装をして出掛けてくお前のスーツを拾ってかける

本当はお前のために死にたいがお前のために生きるのもいい

間違えた暗号解いてツナマヨの代わりにシャケを買ってきた昼

見つめたらもう目をそらせない意地をかけたにらめっこの始まりだ

無理を言うお前にいつも引きずられ、けれど楽しい。言わないけれど

目をつぶり明日もわからぬ夜となるお前のいびきが心地いい風

もう死ぬと思ったときにはためいたお前のジャケットただ赤かった

焼き尽くす焔を見つめて悲しげなお前の背中をじっと見つめる

ゆっくりと風呂に入ればもう年か、ため息が天井へとのぼる

よかった。よかった。お前がいきていて、お前と笑える今日が続いて

ラジオから犯行予告を聞いていて以外といい声してると思う

リリーからもらったちょこは毒入りで笑って捨てるバレンタインデー

瑠璃色の海をふたりで見ているとお前の伝書鳩の羽ばたき

レモン色のスーツでデートに出掛けると行ったお前を止めはしないよ

ろうそくの火が消え始まるパーティーさ主役はお前、踊り明かそう

忘れないお前とお前の世界とをまた巡り会うこれは運命

長歌 「虹」

ハイヒール女の武器は
アイライン濃いめに引いて
マシンガン唇は赤

なのになぜあなたはいない
深夜二時既読を付けて
気が向いたふりをするだけ

終電のブレーキ軋む
つり革に掴まるおやじ
ハイヒール私を守れ

大丈夫折れてはいない
強いはず私の心
泣きながらメイクを拭くわ

ドラゴンはどこにもいない
フェアリーはテレビの中だ
夢を見た少女は死んだ

鏡には素肌の私
気がついた伝線の跡
お守りの香水は青

夏の夜に私を掴む
その腕に恋をしていた
夢を見た少女は死んだ

強くなれコーヒーは黒
したたかにスカートは黒
生き残れ夕暮れは赤

ひとりだと泣いてもひとり
友だちは会うけど笑顔
自由など不自由なだけ

落ちていたメモ帳は白
窓際のカーテンは白
アパートの壁紙は白

もう一度描くユニコーン
飛び出したのはフェニックス
残り火で描いた世界

死にたいと思った朝陽
生きたいと思った夕陽
生きている私に月夜

ハイヒール女の武器は
アイライン濃いめに引いて
マシンガン唇は赤
私は笑顔

長歌 「相棒」

相棒

摩天楼たなびく煙
硝煙の匂いをまとい
一匹の狂犬となり
我が道を歩く男が
泣いている女のことじゃ
ないけれど友が死んだと
言うだけで男はひとり
泣いている友と言うには
近すぎて愛を言うには
遠すぎた背中を守る
その腕に何度惚れたか
分からない我が名を叫ぶ
その声に何度惚れたか
分からない恋など軽い
ものでなく執着という
足枷で繋がれたはず
このふたり繋がれたはず
このふたり永遠という
ジレンマに苦しめられて
逃げまわり最後の問いが
死別など笑ってしまう
神などは信じちゃいないが
あんまりだ信じちゃいないが
あんまりだ教会の戸は 
開いていて讃美歌だけが
悲しくも男の涙を
表した赤を見るたび
その生と死を思いだし
涙さえ枯れた頃には
やって来る死んだ男が
やって来る分かっちゃいるが
つらいのだ何度言っても
笑うだけ彼は静かに
笑うだけまた永遠を
駆け回りまたジレンマを
抱えつつそれでも生きる
ことだけを支えとするが
信条だお前とならば
どこだって行けるさ飛ぼう
この摩天楼

※短歌練習帳について

短歌練習帳は、桜前線開架宣言に載っている40人の歌人の歌を真似して詠んでみたものです。
敬称を略させて頂いています。
何か失礼な点がございましたら、コメント又はTwitterのDMでご指摘いただけると幸いです。


さはらや twitter @0ya5udon

短歌練習帳40 小原奈実

短歌練習帳40 小原奈実を読んで私が詠んだ歌

旧仮名 現実を描写する
床の間の皿に描いた父の顔埃をかぶり微笑んだまま

朝起きる時間に針を合わせたら眠りの横に目覚まし時計

乾ききる前のタオルに行くことのない砂漠での雨を思つた

暗闇の中でも進む時計には目もなく耳もなく鼻もない

電線に捕まることは簡単か聞きたいけれど雀の友なし

稲刈りの終わりし田に集まりし雀の数を数えて過ごす

雀見て私も軽くなりたいと健康診断の列にゐる

影落とすあれはカラスぢやなからうか影まで黒いからカラスだよ

カサカサの落ち葉を踏むと残された秋が細かくなつて出てきた

どこまでも理屈どうりに突き詰めて冬はどこからくるのでしようか

秋風がキーゼルバッハを傷つけて血が止まらない午後三時半

眠れない夜に昨日の残り香が私の胸をしめつけてくる